交差点のマンホール内で、下水管の清掃をしていた会社員の方がマンホールから頭を出した際、車と接触し亡くなるという非常に痛ましい事故が起きました。
安全管理を怠った管理会社に問題があったと言われていますが、この事故に関して問題や、責任はどこにあるのでしょうか。
過去の事例と一緒に見ていきたいと思います。
目次
事件の概要は?
マンホールは信号交差点の横断歩道上にあり、マンホールの蓋を開けた状態で清掃作業を行っていました。
マンホールは、交差点の横断歩道上にありましたが、作業中を示す囲いなどは設置されていませんでした。
被害者である作業員は作業を終え、地上に出ようと頭を出したところ車と接触し、3・2メートル下まで転落。
当時、マンホールのふたは開いた状態で、作業中と分かる柵などはなかったようです。
地上に警備員が1人いたが、他の車を誘導していたといいます。
愛知県刈谷市野田町十三塚の市道 横断歩道上のマンホール
問題点は?
問題点①道路使用許可・道路占用許可申請はとっていたのか?
道路を通行以外で使用するには、警察署に道路占用許可申請や道路使用許可申請の申請が必要になります。
調べてみると、今回の作業も以下のいずれかに当てはまります。
道路使用許可申請とは?
- 道路において工事もしくは作業をしようとする行為
- 道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為
- 場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為
- 道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為
道路占用許可申請とは?
- 道路上に設置する以外にも、地下に水道、下水道、ガスなどを埋設する場合
- 建物から看板や日よけなどを道路に突き出して設置する場合
(具体的な行為については、各都道府県道路交通規則に定められています。)
作業会社はきちんとした許可をとっていたのでしょうか。
問題点②行政作業指事を無視?
作業前に行政の作業指事書や設計書を確認する必要があります。
以下のような決まりがあるようです。
- 警備員の適正配置人数
- 作業員人数
- 安全柵や安全看板の設置
- 警察への道路一時占有届提出等
今回の場合、作業前に確認されていたのでしょうか。
問題点③転落防止の為の措置はされていた?
マンホールふたを開けた状態で点検・清掃等をする場合は、転落防止の為の措置があるようです。
今回は守られていたのでしょうか。
マンホールふたを開けた状態で点検・清掃等の作業をする場合に、人の転落や物の落下による事故を避けるため、転落防止用梯子の設置が望まれます。
内圧でふたが飛散した場合でも人の転落を防止できる転落防止用梯子の装着が望ましいことが「下水道マンホール安全対策の手引き(案)」の中で謳われています。この場合は内圧で梯子が外れないようにロックが必要です。この梯子はマンホール内への昇降時には手持ちになり、昇降時の安全性にも繋がります。(日本グラウンドマンホール工場会より)
酸欠対策はされていたのか?
今回の事故後、転落3mも深さがある下水道の清掃作業だと酸欠対策も必要だったんじゃないか。
という声もあがっています。
事故の報道内容では、車と接触したということなので、車が普通に通過できたという事。
柵だけではなく送風機も何も設置してなく見張りの主任者もいなかったということでしょうか。
過去のマンホール事故では、マンホール内の硫化水素で亡くなった事例もあります。
責任は?管理会社はどこ?
安全管理を怠った管理会社の責任と言われています。
過去の事故事例からして、管理会社は「業務上過失致死」で書類送検されるのではないかと言われています。
一連のニュース報道では管理会社の名前は公表されていません。
そのことから、一部では市議会議員か県議会議員の会社ではないか?と言われています
過去のマンホールに関する事件
過去にマンホールに関する事故です。事件後には管理会社が書類送検されています。
2017年には同じ愛知県刈谷市でマンホール内清掃作業員の男性が死亡するという事件も起きています。
市職員と作業員3人の計4人が現場に向かった。下水道管の詰まりが原因とわかり、作業員が清掃作業のために内部を写真撮影しようと、マンホールから下水道管に入った。1分後に市職員が声をかけても、返事がなかったため、マンホールをのぞいたところ、ぐったりとしている作業員を見つけた。消防隊員が調べたところ、硫化水素が検知されたと。
他、マンホールに関する事故で書類送検になった事故
千葉・船橋労働基準監督署はマンホールの設置作業中に労働者が生き埋めになり死亡した労働災害で○○建設(千葉県成田市)と同社の代表取締役を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで千葉地検に書類送検。
高崎市のマンホール下水道調査をしていた男性作業員2人が窒息死した事故。作業前に義務付けられている酸素濃度の測定をしなかったという。高崎労働基準監督署は14日、2人を雇用していた前橋市上泉町の下水道管理会社○○と男性副社長、死亡した作業員のうち現場責任者だった男性を労働安全衛生法違反容疑で前橋地検高崎支部に書類送検。
まとめ
過去の事件を見ても、安全管理徹底が必要になってくる事案です。
一番大事な安全管理を怠っていなければ今回の事故も防げたのではないかと思うと、ニュースを見るたび非常に憤りを感じます。
亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。